日本郵政 アフラックとの提携強化、国内生保各社は警戒

日本郵政と米保険大手アメリカンファミリー生命保険(アフラック)の提携強化に対し、国内の生命保険各社には戸惑いと警戒感が広がっている。がん保険など「第3分野」と呼ばれる保険に強いアフラックが全国2万の郵便局のネットワークを活用できれば、国内生保への影響は避けられないとみているためだ。

「(日本郵政グループの)かんぽ生命保険とは08年より、さまざまな面で協力を行ってきた経緯もあり、今回の話は遺憾だ」。約5年にわたり提携関係を築いてきた日本生命保険は26日、不快感をあらわにするコメントを発表した。共同で進めていたがん保険の商品開発は、日本郵政グループの経営体制の見直しなどの影響で頓挫している経緯もあり、日本生命は悔しさをにじませる。

 生保各社が脅威に感じるのは全国2万にも上る郵便局の強固な販売網だ。ある大手生保幹部は「我々の営業拠点の数とは1ケタ違う」と恐れを隠さない。実際、株式市場でも生保各社への影響が懸念され、提携が表面化した2日間で生保株は軒並み売られ、第一生命保険の株価は9%も下げた。

 大手生保の中には「アフラックと直接競合する単品のがん保険を扱っておらず、影響は限定的」と冷静な見方もある。ただこの日の会見で日本郵政の西室泰三社長は「提携を進める中で新しいことができるかもしれないと内心は期待している」と述べ、将来的な商品拡充の可能性も示唆しており、生保各社の焦燥感は募る。

 生命保険協会の佐藤義雄会長(住友生命保険社長)は「(今回の提携は)個社の経営判断の範ちゅうで、賛成、反対を表明する立場にない」とのコメントを出したが、生保業界は日本郵政とアフラックの提携の行方に警戒を強めている。