東日本大震災 被災地支援、企業が主力

20130724-00000045-mai-000-2-view東日本大震災の被災地でボランティアの数が漸減する中、企業が社員の派遣や資金面での援助など息の長い被災地支援を続けている。最近では、企業関係のボランティアが半数以上を占める自治体も。企業側にとっても社会貢献や社員教育になるなどメリットが大きく、被災地との間で相互に利益となる「ウィンウィン」の関係を築きつつある。

 全国社会福祉協議会によると、今年5月までに岩手、宮城、福島各県の災害ボランティアセンターを通して約126万人が活動した。ピークは震災翌々月(2011年5月)の18万2400人。今年は1万人を割り込む月も目立つ。がれき撤去などから仮設住宅の被災者支援などへとニーズも変化している。

 岩手県陸前高田市の「復興サポートステーション」では、今年受け入れたボランティア約5800人のうち9割以上が団体参加で、その半分近くを企業関係者が占めた。今年4月に約3600人が活動した宮城県南三陸町災害ボランティアセンターでも6〜7割が新入社員研修などの企業参加だった。

 経団連が昨秋まとめた調査では、会員企業205社が社員にボランティアプログラムを提供しており、延べ約15万人が参加した。

 そのうちの一つ、三菱商事は震災1カ月半後に社員ボランティアの派遣を始め、昨年度末までに約2300人が参加。現在も毎週派遣し、部署や世代を超えて農作業や漁業の手伝い、がれき撤去に汗を流す。南三陸町で先月活動した同社の青木貴さん(31)は「活動が社の活力を高めている」と評価する。

 このほか、味の素は12年3月から、自社製品の売り上げの一部を被災地の農家支援などに充当。コマツは11年12月、宮城県名取市に建設機械の教習所を開設し、運転技能講習の受講料の半額を支援するなど幅広い支援が続く。

 「基金」も活用されており、三菱商事は震災翌月に創設した総額100億円の復興支援基金の一部で財団を創設。財団は被災企業への融資やNPOの助成をしており、南三陸町ではデイサービスセンターの建設にも使われた。経団連によると、こうした基金を設立・拡充した企業は36社あり、総額は約437億円に上る。

 南三陸町災害ボランティアセンターの猪又隆弘センター長は「ボランティアの派遣だけでなく、人材育成なども協力してくれる。企業にとってもイメージアップになっており、お互いに得るものは大きい」と話す。