早い方が・秋頃に見極め…消費増税巡り不協和音

20130724-00000260-yom-000-1-view今秋に迫る消費税率の引き上げ判断を巡り、安倍内閣の不協和音が表面化してきた。

 麻生副総理・財務相が早期の引き上げ判断を主張しているのに対し、閣僚からは「景気が腰折れし、税収が増えなければ意味がない」と慎重な見極めを求める声が上がっている。

 「法律を決めた時と今とを比べて、悪くなった経済指標は一つもない。予定通りやらせていただきたい」

 麻生氏は23日の記者会見で、こう強調した。安倍首相の経済ブレーンである浜田宏一内閣官房参与らが唱える増税先送り論については、「根拠がよく分からない。基本的考え方がぶれることはない」と述べた。

 消費税率は2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げられる予定で、安倍政権は10月までに8%引き上げの是非を最終判断する。財務省は、8月上旬に増税を前提とした中期財政計画を策定した上で、早い段階で「首相の決断」を引き出したい考えだ。

 麻生氏は記者会見で、「決めるタイミングは早い方がいい」とし、9月5〜6日にロシアで開かれる主要20か国・地域(G20)首脳会議で方向性を示すべきだとの考えを示した。

 一方、田村厚生労働相は23日の閣議後の記者会見で、「消費税を上げても景気が腰折れし、税収自体が増えなければ本末転倒になる」と述べ、慎重な判断を求めた。

 菅官房長官は同日の記者会見で、麻生氏が主張するG20首脳会議前の決断を「考えていない」と語った。増税実施の主要な判断材料となる4〜6月期国内総生産(GDP)は、8月12日に速報値、9月9日に改定値が公表される。菅氏は「(改定値が出る)秋頃にしっかり見極め、的確に判断したい」と述べ、ぎりぎりまで判断を持ち越す姿勢を示した。