ホンダ、新型フィットHVで“アクア超え”

ホンダは7月19日、9月上旬にフルモデルチェンジ(全面改良)する新型「フィット」のハイブリッド車(HV)で、ガソリン1リットル当たり36.4キロメートルの低燃費を達成すると発表した。トヨタのコンパクトHV「アクア」の35.4キロメートル/リットルを抜き、電気自動車・プラグインHVを除く国内最高水準の低燃費車となる。新型フィットHVで、アクアとプリウスとのHV二枚看板で独走するトヨタに反撃を挑む。

今回の発表に併せて、内外装の写真も初めて公開した。新型フィットHVには、昨年11月に公表した1モーター式のハイブリッドエンジンを搭載する。このハイブリッドエンジンは、モーター出力を高めたほか、モーターのみでの走行も可能にするなど、従来のハイブリッドシステム「IMA」を完全に刷新、システムとしては35%の燃費向上を果たした。

カタログ燃費の差大きく、トヨタの後塵排する

従来のIMAは、トヨタのHVシステムに比べて低コスト・小型化に優れていたものの、燃費性能では劣っていた。現行のフィットHVは、カタログ燃費では26.4キロメートル/リットルとアクア、プリウスをかなり下回っており、これが販売にも響いた。実際の燃費でみればさほど引けをとらないとはいえ、カタログ数字の差は大きく、HVでトヨタに水をあけられてしまった。

 車内空間の広さやデザイン性など総合性能ではフィットもアクアに劣らないと自負するホンダ陣営だが、「プリウスはともかく、アクアがあんなにヒットするとは想像できなかった」(ホンダ技術者)と悔しがる。こうした反省をもとに、今回、新型フィットHVの投入にあたってはカタログ燃費でもナンバーワンを取ることにこだわった。

エンジンの刷新とともに、デザインも大きく変更した。フロントグリル周りは、アコードやCR-Vといった上級車とも共通するホンダの統一デザインを採用、精悍な印象を与えるものとなっている。従来のファミリーコンパクトカーよりもスポーティさを意識し、外観面でもアクアとは一線を画した格好だ。

内装にもハイテク感

また、HVは、インテリアでもメーター表示やシフトレバーなどで、電動車ならではのハイテク感を出し、ガソリン車とは異なる印象を持たせている。日本市場ではこのハイテク感の有無がけっこう重要である。

 ホンダはフィットHVを皮切りに、フィットをベースとした小型のSUVやセダンなどを矢継ぎ早に投入する計画だ。トヨタもアクアを改良し、早晩、ナンバーワンの座を奪回すると見込まれるが、それでもこれまでのような大差はつかないだろう。HV競争はさらに過熱しそうだ。