経済論戦で野党2極化=政権批判、切り口に違い【13参院選】

参院選の重要な争点の一つ、安倍政権の経済政策「アベノミクス」をめぐる論戦で、野党が2極化している。民主、生活、共産、社民、みどりの風の5党は格差拡大を助長するとの見方から、アベノミクスの方向性そのものを批判。一方、みんなの党と日本維新の会は方向性には同調しつつ、規制改革の踏み込みが足りないと主張している。
 反アベノミクスの5党は、濃淡はあるものの経済・社会保障政策で公的保護を重視する「大きな政府」を志向。アベノミクスの恩恵が一部投資家らにとどまると問題視する。
 民主党の海江田万里代表は9日の街頭演説で「子育て中の親たちは生活が苦しいと言っている。子ども手当や高校無償化に力を入れる」と強調。公的給付で中間層の手取りを増やすことが景気回復につながると訴えた。
 ただ、消費税では5党の立場は分かれる。民主党は政権担当時に、自民、公明両党とともに消費増税法を成立させ、増税推進の立場だが、共産など4党は明確に増税反対だ。選挙戦でも「大企業に減税、庶民に大増税の『あべこべミクス』だ」(志位和夫共産党委員長)、「安倍政権は弱肉強食の論理」(小沢一郎生活の党代表)などと強い調子で批判を繰り返している。
 みんなと維新は競争原理を重視する「小さな政府」を目指し、民主党などとは異なる切り口で安倍政権を攻める。安倍晋三首相が成長戦略の柱に据える医療分野などの規制緩和について、維新の橋下徹共同代表は「自民党には業界団体の嫌がる改革はできない」と指摘。みんなの渡辺喜美代表も、自民党と関係が深い医師会、農協、電力会社などが絡む「岩盤規制」に切り込むとしている。
 消費増税については、みんなが「大きな政府をさらに大きくする。成長戦略と矛盾する」(渡辺氏)と凍結を主張。維新は地方分権の観点から地方財源化を求めているが、積極的に争点にしようとはしていない。