宝塚市役所火炎瓶事件 職員「投げられたら一瞬で周りが火の海」

12日朝、兵庫県の宝塚市役所で、男が火炎瓶を投げつけて放火し、職員など5人がけがをした。市役所内には、炎が燃え広がった。男が訪れていたのは、税金を扱う窓口で、滞納をめぐるトラブルが犯行の引き金とみられている。

午前9時38分、宝塚市の職員から「宝塚市役所の1階に男が火をつけた。ガソリンをまいたようだ」と消防に通報があった。宝塚市の職員は「税金のカウンターがあって、そこで朝から、おっちゃんが来て、なんかしゃべってたんですけど。急に立ち上がって、カウンターの中に火炎瓶のようなものを、バーンって投げ込んだんです。そのあと、隣の人が見ていたのは、ポリタンクのガソリンをまたまいて、廊下にも」と語った。

放火の疑いで現行犯逮捕されたのは、高橋昭治容疑者(63)

かばんの中に入れていた火炎瓶2本を、カウンターの中に投げ込んだという。この火事で、高橋容疑者の対応にあたっていた40代の男性職員が、のどをやけどするなど、市民を含む5人がけがをした。

宝塚市の職員は「(火炎瓶を)投げて、火がのぼって、すごい勢いで火が迫ってきたので。すぐに僕ら外に出たんですけど、煙で行き場がなくなってしまって」と語った。炎はあっという間にフロア全体に燃え広がったが、職員が、中にいた市民を誘導しながら、全員、外に避難した。

午前中に30度を超えていた宝塚市内

厳しい猛暑の中、宝塚市の職員は全員、外へと避難し、待機する事態になった。鎮火後、消火のための放水で、庁舎内は水浸しとなり、コピー機や机は焼け焦げ、至るところから煙が立ち上っていた。

幸い死者はなかったものの、1階部分全体が焼ける事態となった。

放火現場近くにいた宝塚市の職員は「騒ぎ声が聞こえて、振り返ったら、火炎瓶を手に持っていて、投げられたら、一瞬で周りが火の海というか。煙もすぐ上がって、必死で逃げた」、「ベルが鳴って、みんなパニックになっていました」などと語った。火炎瓶を投げた直後、市の職員に取り押さえられ、駆けつけた警察官に、放火の疑いで現行犯逮捕された高橋容疑者。税金滞納についての相談のため、宝塚市役所を訪れ、職員と話している最中に激高し、火炎瓶を投げこんだという。

逮捕された高橋容疑者は、およそ20年前に宝塚市のマンションの一室を購入したが、固定資産税を支払わなかったために、今回、市役所の職員とトラブルになったという。調べに対し、高橋容疑者は「腹が立ってやった」などと、容疑を認めているという。宝塚市の中川智子市長は、今回の高橋容疑者の犯行について、「何があっても、こんなことは許されません。たくさんの市民サービスに影響があり、市民の皆さまには、大変なご迷惑をおかけすることをおわび申し上げます」と語った。

警察は、犯行に及んだ経緯や動機などについて、調べを進める方針。