参院選 成長戦略加速に期待感 アベノミクス副作用懸念も

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経済・産業界から注文

4日公示の参院選では、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」への評価が最大の争点となる。産業界からは、政権が打ち出した成長戦略を早く根付かせるよう求める声が多く、アベノミクスへの期待の大きさを反映している。一方、来年4月に予定されている消費税の増税の影響を懸念する声もあり、新たな内需活性化策など政治への注文は絶えない。

 「日本経済は元気になれる確固としたものが必要な時期にあり、国の方向を決める大きなきっかけになる」。冨田哲郎JR東日本社長は、参院選への期待感をこう表現する。

 今回の参院選は、「第2次安倍内閣が推進してきた政策についての中間評価であり、残された重要課題をめぐる政策論争を深める重要な選挙」(経済同友会の長谷川閑史代表幹事)と位置づけられる。

 焦点のアベノミクスに対しては「大胆で現実的な政策を打ち出し、しっかりやってくれている」(大手メーカー幹部)などの評価や、「(裾野が広い)自動車業界全体が持続的に成長できる基盤づくりを後押しする政策を実行してほしい」(大手自動車メーカー幹部)との期待が相次ぎ、秋の成長戦略の目玉に位置付けられる設備投資減税に注目する。

 さらに、「ねじれ国会が解消されるかどうか」(日本鉄鋼連盟の友野宏会長)も注目されており、「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)をはじめとする経済連携や規制改革などをスピーディーに実行すること」(経団連の米倉弘昌会長)など、政治の安定を望む声も出ている。

 その一方で、長期金利の先高感や来年4月の消費税増税による景気への影響を心配する声が出ている。

 住宅業界では、「(増税前の)駆け込み需要の反動が読み切れない」(三井ホームの市川俊英社長)とし、「住宅資金贈与の特例(贈与税の非課税措置)が縮小される方向だが、むしろ拡大してほしい」(三菱地所レジデンスの小野真路社長)などの要望があがる。

 また「多くの中小企業は、燃料や原材料の上昇などもあり、実感の乏しい状況にある」(日本商工会議所の岡村正会頭)といい、景気回復の恩恵を地方や中小企業などに広く行き渡らせる工夫が求められている。

 セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長は選挙後の政治について、「党利党略を超え、国民の立場に立ち、時代の変化に対応した政策議論」ができるよう要望している。