「飛び地の村」に待望のコンビニ開店! 住民らレジに列「楽しい」

20130703-00000135-san-000-21-view全国唯一の飛び地の村、和歌山県北山村に3日、村営のコンビニエンスストアがオープンした。信号機も横断歩道もない“秘境の村”には、これまで弁当や総菜を扱う店はなく、生鮮食品は注文購入しなければならないなど、買い物の不便さが村民の悩みのタネだった。待望のコンビニ開店に村民たちが続々来店。レジには行列もできた。

設置されたコンビニは、製パン大手の「山崎製パン」(東京)と提携。村営の温泉宿泊施設「おくとろ温泉やまのやど」内の土産物の売店を売り場面積82平方メートルのコンビニに改修してつくられた。

 3日は、開店に合わせて温泉入浴料半額といった特典があるオープニングイベントを実施。開店とともに店内はにぎわいを見せた。

 自宅から歩いて来店し、パンや洗剤などを購入した福岡雪子さん(78)は「何でもそろってびっくり。商品を見るだけでも楽しい」。夫の車で来たという久保岡秀子さん(76)は「いつも車で1時間かけて三重県熊野市まで買い物に行っている。ちょっとした買い物はここでできる」とうれしそうだった。

 北山村は奈良、三重県に囲まれた山間部にあり、「信号機と横断歩道、コンビニがない」(村職員)という“秘境”が魅力。人口は481人(6月30日現在)で、離島を除き本州では最も人口が少ない村とされる。

 いかだ下りなどの観光資源があり、キャンプ客や釣り客を含めると年間で約5万人の観光客が訪れるが、村の課題は村民が買い物する場所が少ないことだった。村内には日用品などを扱う店が4軒あるが、弁当や総菜などは販売しておらず、生鮮食品の買い物は週2、3回村に来る移動販売車で購入。しかも事前注文が必要だった。都会では当たり前の「ちょっとコンビニ」というわけにはいかないのだ。

 これまで最寄りコンビニは、車で30分離れた三重県熊野市内にあったが、村民たちが買い物にいく場合は、村営バスで約1時間かかる同市中心部か、車で約1時間の和歌山県新宮市に赴くことが多かったという。また、これまでは北山村に訪れた観光客が“買い物難民”になることもあり、「朝早く村に着いたがどこでも食べ物が買えなかった」といった苦情も寄せられていた。何とか対策を取ろうと、村は昨年5月から山崎製パンと協議。今回、村営のコンビニとしてオープンにこぎつけた。

 店名は「ヤマザキショップじゃばら屋」。夏季の営業時間は午前7時〜午後8時で、地元名産の柑橘(かんきつ)類「ジャバラ」関連商品なども取り扱っているという。