金融機関 暴力団の口座開設拒絶は「合憲」 大阪高裁

暴力団組員であることを隠して預金口座の開設を申し込むなどして通帳をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた暴力団組員、喜多仁志被告(48)の控訴審判決が2日、大阪高裁であった。金融機関が暴力団組員の預金口座開設などを拒絶する規定の是非が問われたが、中谷雄二郎裁判長は「社会的責任と公共的使命を果たすため、正当で必要」と判断。懲役4月とした1審・大阪地裁判決を支持し、控訴を棄却した。

 判決によると、喜多被告は2010年4月、大阪市浪速区の信用金庫の支店で、反社会的勢力ではないとの記載がある書面に押印し提出。預金通帳2通をだまし取った。

 弁護側は「規定は憲法が保障する経済活動の自由を制約する。違法行為に使用される可能性がある際のみに適用すべきだ」などと主張。判決は「規定は企業の被害を防止し、市民生活の安全と平穏を確保するという高い公共性がある。暴力団組員らが反社会的勢力との関係を断絶すれば不利益は回避できる」と指摘し、合憲と判断した。