低価格&高単価 両輪に活路 吉野家など外食チェーン

20130702-00000026-san-000-7-view低価格が売りの外食チェーンが、高単価商品の投入を加速させている。安倍政権の経済政策「アベノミクス」による景況感の改善を背景に、高品質を求める消費者ニーズに対応する。一方で、根強い節約志向も考慮し、低価格商品の品ぞろえも維持。集客と客単価アップの二兎(にと)を追う。

「価格だけでなくバリューを求める流れをつかみたい」。牛丼大手、吉野家の門脇純孝専務は1日に発表した「牛カルビ丼」と夏季限定発売の「ねぎ塩ロース豚丼」の販売に期待を寄せた。4日から全国の店舗で発売する。

 両商品とも並盛り480円と牛丼より200円以上高いが、希少部位の肉を使うなど、素材とボリュームが売り。同社は4月の牛丼値下げで売上高アップにつなげたが、今後は高単価メニューを拡充、収益向上を狙う。

 日本マクドナルドも、同社の単品として最高価格帯のクォーターパウンダーシリーズで、「BLT」「ハバネロトマト」の2商品を6月から発売。「全皿105円」を売りにしてきた回転ずしチェーン大手、あきんどスシロー(大阪府吹田市)も4月から、国内産のネタにこだわった189円メニューを、8月に全店舗に拡大する。

 外食産業は5月の全店売上高(日本フードサービス協会調査)が前年同月比3・3%増と回復。一方、円安などによる原材料高への対応が課題となっており、利益確保に高単価品投入の動きが続くとみられる。