みずほ銀行 合併で新体制 「旧3行意識」一掃が課題

20130701-00000099-mai-000-9-viewみずほフィナンシャルグループ(FG)は1日、傘下のみずほ銀行とみずほコーポレート銀行を合併させ、新・みずほ銀が発足した。過去のシステム障害でも指摘された、「旧3行意識」を一掃して意思決定を迅速化し、顧客サービスの改善などを進めるのが目的だ。三菱UFJや三井住友のライバルに劣る収益力や資本力の向上が課題となる。

新銀行の頭取にはFGの佐藤康博社長が就任。佐藤頭取は1日の記者会見で「ワンバンクの実現で、組織体制は一応の完成形をみた」とする一方、「信託まで含めたワンバンクも考えたい」と述べた。今後は銀行、信託、証券の総力を結集し、「次元の違う一体運営」を目指す。

 旧みずほ銀では2002年4月と11年3月の計2回、大規模なシステム障害を起こしており、システムを順調に統合させることが最初のハードル。16年3月末をめどとするシステムの一本化までは2行のシステムを接続して併存させるが、佐藤頭取は「事前テストの幅と量と質は万全の態勢を敷いた」と説明した。

 証券や信託商品などすべての金融サービスを提供する「ワンストップサービス」の実現も課題だ。合併に先駆け、昨年4月には持ち株会社と傘下銀の経営企画や人事部門などを一元化。営業部門も2行横断的な組織に移行した。取引先の資金需要を吸い上げるだけでなく、取引先社員の住宅ローンの獲得や中小企業の海外進出支援につなげるのもその一環だ。

 今年1月には証券子会社が合併し、4月から持ち株会社の子会社に再編成。信託、証券の社長もFGの経営会議に出席させて一体運営を加速させている。

 ワンバンク化の成否を左右するのが経営効率化による収益改善だ。

 みずほの貸出金は2行合算で63兆円、預金は94兆円と、大手金融グループで三菱東京UFJ銀に次ぐ第2位の規模だが、グループ全体の利益では08年3月期以降、6期連続で3位にとどまる。財務の健全性を示す自己資本比率も低い。

 同社は、これまでの一体経営による収益改善効果が13年3月期時点で500億円あったと説明。今後も銀行、信託、証券の共同店舗化などを進め、3年間で900億円の効果を見込んでおり、計画通りに経営効率化が進むのか注目される。

みずほ銀

1999年8月、大手都市銀行の第一勧業、富士両行と長期信用銀行だった日本興業銀の旧3行が経営統合を発表。2002年4月、個人・中小企業向けのみずほ銀と、大企業向けのみずほコーポ銀に再編された。大手銀行グループの中で、三菱UFJでは旧三菱銀、三井住友では旧住友銀がグループの主導権を握って経営を軌道に乗せたのに対し、みずほは旧3行の主導権争いが目立ち、主要ポストを分け合ってバランスを取る慣行が続いた。

 再編時と11年の東日本大震災時に計2回のシステム障害が発生。持ち株会社を含めた連携不足や意思決定の遅さが遠因との指摘が相次いだ。11年11月に2行合併を決定。今年1月には証券子会社が合併した。