富山産ますずし完成 滑川高海洋科・6年越しの夢実る

20130625-00001393-kitanihon-000-2-view滑川高校海洋科(滑川市加島町、開宣之校長)は25日、同校実習棟で飼育してきたサクラマスを水揚げし、米や塩まで“オール富山”にこだわったますずしを完成させた。前身の海洋高校時代から、6年越しのチャレンジ成功。次の目標は江戸時代、将軍にますずしを献上した富山藩家臣のように「総理大臣に試食してもらうこと」だ。大きな夢に向け、さらに改良を重ねていきたいとしている。

 滑川高海洋科は前身の海洋高時代から、県産サクラマスの資源回復を目指して人工飼育に挑戦。海洋深層水などを活用し、昨秋初めて43匹を水揚げした。ことしはサイズや肉質を高めるため、餌を改良するなど工夫を凝らした。

 この日は3年生24人が2歳半の成魚97匹を水揚げ。大きいもので体長40センチ、重さ700グラム程度に成長していた。レストラン光彩(滑川市中川原)の和食調理師、藤田諭さんが活(い)け締めにし、三枚におろすと、生徒たちは市販のトラウトサーモンと弾力やにおいなどを比較した。

 引き続き、藤田さんがますずしに調理。深層水から精製した塩や酢で身を締め、滑川産のエゴマ、大葉を混ぜた酢飯と共に型に押し込んだ。最後にバーナーで身をあぶり、梅肉じょうゆを添えて完成。試食した生徒たちは「おいしい」と笑みをこぼしていた。

 同校の吉倉桂三教諭によると、ますずしは1717年、富山藩家臣の吉村新八が江戸幕府将軍、徳川吉宗に献上したことで全国に広まった。これに倣い、同科は総理大臣への“献上”を目指す「現代の吉村新八プロジェクト」をスタートさせるという。

 飼育に携わってきた海洋生物部長の山崎静也君(3年)は「質的には市販品に劣らないマスを育てることができたと思う。後輩たちには、より大きく育てられるよう頑張ってほしい」と笑顔を見せた。