低迷アップル、巻き返しなるか

20130610-00010000-wordleaf-000-2-view米アップル社が開発者向けに催す大規模な会議、WWDC(Worldwide Developers Conference=世界開発者会議)が、6月10日からサンフランシスコで始まります。2007年から毎年1回開催されているこの会議では、これまで「iPhone 3G」や「iOS 4」、「iCloud」など、アップルにとって重要な新製品や最新OS、サービスなどが発表されてきました。今年のWWDCでアップルからどんな発表があるのか、注目が集まっています。

株価低迷の理由は?

最近のアップルを取り巻く環境は、決して順風満帆とはいえません。2012年9月に705ドルの最高値をつけた株価は、その後急落。2013年6月7日現在は441ドルと低迷しています。また、4月23日に発表された2013年1〜3月の決算では、純利益が昨年同期比で18%減。10年ぶりの減益となりました。

 こうした不振の背景には、同社のカリスマ経営者だった故スティーブ・ジョブズ氏が2011年10月に死去した後、ユーザーにインパクトを与える新製品がいまだ発表されていないことがあると考えられます。2012年秋には「iPhone 5」、「iPad mini」が発表されましたが、いずれも過去の製品の延長に留まり、新鮮な驚きを与えるものではありませんでした。スマートフォン市場ではグーグルのOS「Android」を搭載した端末の人気が高まり、もはやiPhoneは絶対的な存在ではなくなっています。アメリカの調査会社IDCによると、2013年1〜3月のスマートフォン端末の世界シェア1位はサムスン(32.7%)で、2位のアップル(17.3%)を引き離しています。

画期的な新製品の発表が待たれる

WWDCでは、こうした状況を一変させる「隠し球」が登場するのでしょうか? アップルのプレスリリースでは、「iOS」と「OS X」の最新版について言及されていますが、ハードウェアの新製品には触れられていません。

 期待される次世代製品のひとつに、「ウェアラブル(身につけられる)・コンピュータ」があります。グーグルは現在、メガネ型の端末「Google Glass」の開発を進めていますが、これに対してアップルは腕時計型の端末「iWatch」を開発中なのではないか、という噂がまことしやかに囁かれています。

 5月28日、アップルのCEOであるティム・クック氏はインタビューで、ウェアラブル・コンピュータに関心を持っていることを認め、「手首は興味深い。(メガネよりも)より自然だ」と意味深げな発言を残しています。また同氏はテレビについても「非常に興味深い領域であり続けている」と述べ、かねてから噂のあるアップル製テレビの開発についても含みを持たせました。

 もっとも、こうした画期的な新製品が今回のWWDCで発表される可能性は低いと見られています。ティム・クック氏自身が、「われわれは今年の秋から2014年全体にかけて本当にすばらしい製品を披露するつもりだ」と述べ、新製品発表の先送りを示唆しているためです(Techcrunch、4月24日付)。

 逆風の中、反転攻勢のきっかけを探すアップル。はたして、巻き返しはなるのでしょうか。